ECをオウンドメディア化するメリットとは?成功事例を交えて解説

コンテンツマーケティング

「オウンドメディアマーケティング」と呼ばれて久しいですが、今でも強力な集客チャネルの一つとして認知されています。本記事では、ECをオウンドメディア化する目的や意味、メリット、実際に成功した事例についても解説いたします。

ECの最新動向・市場規模について

ECの市場規模は、年々、増加傾向にあります。経済産業省の調査によれば、2018年におけるBtoCのECの市場規模は18兆円となっています。一方、BtoBのECの市場規模は344兆円となっており、BtoC市場は前年から8.96%増加、BtoB市場は8.1%増加しています。

また、メルカリ等フリマアプリを代表とするCtoCのEC市場規模は6392億円で、前年よりも32%も増加しており、BtoC、BtoBよりも急増していることがみてとれます。

出典:経済産業省 | 電子商取引に関する市場調査の結果2019

ECをオウンドメディア化する目的・メリット

なぜ、ECをオウンドメディア化する必要があるのか。ここからは、ECをオウンドメディア化する目的・メリットについて解説します。

ボリュームゾーンの大きい「潜在顧客層」を狙える

購入率が高いと見込まれるのは、購入ニーズのある顕在顧客です。ただし、顕在顧客層はボリュームが少ないため、競合他社との価格競争に巻き込まれやすいです。例えば、「カレー皿 比較」という検索ワードは、カレー皿を比較したいというニーズが顕在化されており、購入率が高いワードと分析できます。「カレー皿 種類」「カレー皿 代用」など、少し目線を外したキーワードはすぐに購入に結びつかないかもしれませんが、将来的に顧客となりうる潜在的なキーワードとなります。

このように、すぐ購入に至らないけど悩みがある、悩みがあるまでに至らないけど興味があるユーザーに対し情報をリーチさせることで、顕在顧客に育成できる可能性があります。潜在顧客は、顕在顧客に比べるとボリュームも大きいうえに、ニッチなワードに向けたコンテンツを制作できれば、競合性も低く、うまく活用すれば大きな集客チャネルにすることが可能です。

顧客獲得単価(CPA)を下げられる

リスティング広告やFacebook広告などでリーチするにしても、競合他社との価格競争を余儀なくされ、顧客獲得単価(CPA)が高くなります。予算が限られる中小・ベンチャー企業にとっては非常に苦しい商戦となります。しかし、コンテンツマーケティングでは、コンテンツ制作を内製化すれば、コストを抑えて顧客を獲得できます。

指名買いしてくれるファンが増える

ただ商品を購入するだけのECサイトではなく、オウンドメディアを通してすてきな商品やすてきな考え方に出会えたり、創業ストーリーを知ったりすることで、ECサイトそのものを好きになってもらうことも狙えます。

ECサイトで最も強いのは「指名買い」です。指名買いとは、同じ店舗・ブランドから商品を買うことを指します。指名買いをするファンが増えれば口コミが広がり、長期的には広告宣伝費を削減することができます。

成果を出しているECオウンドメディアの共通点

では、成果を出しているECオウンドメディアにはどのような共通点があるのでしょうか。それは、大きく分けて以下の3つになります。

継続的な情報発信

定期的に情報発信することで、ユーザーとの接触頻度を高められます。オウンドメディアは、すぐに効果を得られるものではなく、半年、1年など長期的なスパンで見ることが重要です。効果が出ないなどの理由で、情報発信を止めてしまい、その結果アクセスが下がってしまったという事例は多く存在します。

とはいえ、いきあたりばったりで記事を制作・更新していては継続的な発信は難しいため、あらかじめターゲットに基づいたコンテンツのネタを洗い出しておき、計画的に制作・発信することが重要です。

ユーザーのニーズに根ざしたコンテンツ

継続的に発信するだけでなく、コンテンツはユーザーのニーズに沿ったものでなければ読まれることはありません。ニーズを分析するには、競合サイトのコンテンツを参考にする、または「Googleキーワードプランナー」等の調査ツールを使って検索数の多いキーワードを調べてみましょう。

この他、オウンドメディアでは一般的に以下のようなコンテンツが書かれることが多いです。コンテンツ企画の参考にしてみてください。

・製品の紹介・使い方事例
・お客様事例・導入事例
・Q&A
・キャンペーン情報
・自社開催のセミナー・イベントのレポート
・スタッフ・従業員の紹介
・商品や業界に関する独自調査・アンケート結果
・商品や業界に関する豆知識・雑学
・商品や業界に関するホットニュース
・店舗エリアの観光案内・ガイド情報

スムーズな導線作り

コンテンツがよくても、露骨な宣伝コピーがそこかしこに書かれていれば、ユーザーは離れていきます。成功しているECオウンドメディアの多くは、あくまでユーザーとのリレーションに重きを置いていることが多く、さりげなくCTA(行動喚起のためのボタン・画像)が配置されています。

「買わせる」のではなく、どれだけ「買いたくなる」仕掛けを作れるか、強引ではなく自然な流れで、どのように購買意欲をアップできるか、コンテンツ制作担当者の腕の見せ所です。

ECサイトがオウンドメディアで成功した事例

最後に、ECサイトがオウンドメディア化に成功した事例を4つ紹介します。

北欧、暮らしの道具店

2007年に「北欧、暮らしの道具店」をオープン。有名コピーライター、糸井重里氏が運営する「ほぼ日刊イトイ新聞」からヒントを得て、自社ECをオウンドメディア化することを決め、2011年にはショッピングモールの出店をやめ、自社ECを軸に展開。スタッフの仕事風景やバックヤードの様子など、ありのままを伝えることを意識し、定期的にコンテンツを発信したところ、月間PV1600万以上、月間UU150万、インスタグラムのフォロワー46万人へと成長を遂げました。

土屋鞄製作所

土屋鞄製作所は、1965年に創業した革製品の製造会社で、ランドセルを筆頭に財布、バッグなどといった革製品を取り扱っています。写真を中心にした雑誌のようなコンテンツが特徴で独特の世界観を演出しています。革製品の使い方やメンテナンス方法、スタッフの日常の紹介など、読み物としても飽きないバラエティに富んだメディアとなっています。

石鹸百科

「株式会社生活と科学社」が立ち上げたオウンドメディアです。石鹸百科では、石鹸の使い方や気になる疑問など、SEOの効果よりも徹底的にユーザーに寄り添った読みやすいコンテンツやサイト設計を心がけています。コンテンツ制作は、全てスタッフで内製化しており、商品リンクやレコメンド機能も全て手動で行っているそうです。現在は、掲示板「せっけん楽会」、肌コスメサイト「読んで美に効く基礎知識」など、多角的にメディア運営しています。

職人醤油

醤油というニッチカテゴリで、ノウハウ、製造工程、使い方など、醤油に関するコンテンツを網羅。また、醤油を使ったレシピも掲載されており、新規ユーザーも楽しめる内容になっています。広告やSEO対策などにコストを投下せず、コンテンツマーケティングだけで、「醤油」というキーワードで検索結果1ページ目掲載、月間15,000UUのメディアへと成長しました。

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